意識の違い

語学学校のイベントで、それぞれの国の郷土料理を各々が作り、食べ合うというイベントが行われた。

自分は寿司を選択。とはいっても握り寿司なんて作れないから、即席の手巻き寿司を用意することにした。

鮮度の事を考えて前日に作るよりも当日に用意した方が美味しいだろうから、朝6時に起きて準備。何しろ初めて手巻き寿司を作るので色々不慣れなことばかり。ご飯をたいてお酢を混ぜて、具材を切って、最後に海苔に巻く作業。

約1時間程で完成。とはいっても想像していたよりも見栄えはいまいち、具材も充分に用意できなかったので味もそこまでクオリティは高くない。まあでもいいっしょ!と思い、パックに詰めて出掛けた。

公園に集まり皆でシェア。

タイ料理、韓国料理、ブラジル料理などバラエティー豊かで味も素晴らしい!

自分も恥ずかしながらお寿司を出す。初めて自分で作った物を人に食べてもらうから少し緊張した。どんなに小さなイベントでも人に何か評価してもらうのは、緊張するし、満足してもらいたいと思うもの。

中々自分の物を食べてもらえず、ああ、と思っていたら計4人が食べてくれた。

その時嬉しかったし、その後美味しかった、ありがとうと言ってもらい、なんだか恥ずかしくそれでも嬉しい思いに溢れていた。

 

今まで母親にいつもお弁当や晩御飯を作ってもらっていた。シドニーに来てからもそう、ホストマザーがランチやディナーを作ってくれた。ほとんど自分で作って食べるや食べてもらうことなんて経験したことはなかった。

だから、作り提供する側の気持ちや労力を心から感謝したり、理解してはいなかったと思う。ありがたいなと思う気持ちは持っていたが、その大変さや評価されることの気持ちを本当に知ってはいなかった。

相手の立場になって考えるのは難しい。相手の事を理解するには、その人と同じ経験をして経験を味わうことでしか得られないのではないだろうか。

 

たかが手巻き寿司を用意するにも1時間という時間と労力を要した。ではほとんど毎日ご飯を用意してくれる母親やホストマザーはどれだけ大変なのだろうか。例えビジネスでやっていたとしてもご飯を用意してくれることに感謝したい。何より母親はどれだけ尽くしてくれるのだろうか。

作ってくれた物に対する感謝の表し方は完食すること、お礼を言うことしかないだろう。

その気持ち、姿勢をこれから忘れずに過ごしていこうと思った。